2015年12月10日木曜日
ゆぶねさよなら
通過待ちであいてるドアの向こうから冬の工事の音がきれいだ
ひさかたのレイ・ハラカミの音色を選んで傘に跳ねるあまつぶ
(音色:おんしょく)
映画から逸れた意識はこんなにも誘導灯を愛してしまう
単館上映を観終えてためていたあくびがきもちいい帰り道
人の痛みがよく分からないときがあります レジ応援おねがいします
ゆぶね、って名前の柴を飼っていたお風呂屋さんとゆぶねさよなら
ここからの坂はなだらで夕映えてムヒで涼しい首すじだった
ぼくの寝息をぼくが聞いてるインターの灯がしのびいる後部座席で
初出:
2015年12月8日付 朝日新聞 夕刊(東京版)『あるきだす言葉たち』に掲載
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