2012年10月6日土曜日

短歌meetsMusic 5

駅前にきみを包んでひらひらと八月の匂いのバスがくる (魚住蓮奈)

meets (八月/七尾旅人)

短歌meetsMusic 4

さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない (杉崎恒夫)

meets (Takagi Masakatsu /Flows)

短歌meetsMusic 3

針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う(木下龍也)

meets (Björk - All is full of love 〈funkstörung exclusive mix〉)

短歌meetsMusic 2

地球には風ってものがありたまに誰かの初夏を伝えたりする (牛隆佑)

meets (深呼吸 / Polaris )

短歌meetsMusic 1

五秒後に世界が終わる可能性それでも僕は君を愛そう(浪江まき子)

meets (あと10秒で / ART-SCHOOL )

今日活字になった歌

アラビア語実用会話例に「このライフル銃はあなたのですか?」

ダ・ヴィンチ『短歌ください』(11月号)第55回テーマ「日常」 
(穂村さんの選評)
日常という概念は地域や時代によって大きく変化する。つい忘れがちなその事実が浮かび上がってきます。「実用」の一語がいい。
過去に作った歌に
日常要素として「実用会話例」という言葉を入れて再編集したもの。

投稿者の名前を消したうえで今月号を知人に見せたら、
一発で「ライフル銃のが岡野さんのでしょう」

そういうわけで、自分らしさが出ている一首だと思う。

2012年9月2日日曜日

今日活字になった歌

現金が欲しいと書けば「あげます」と応える人のいる掲示板
日経歌壇(9月2日) 穂村 弘 選
(評)
「現金が欲しい」よりも「あげます」に時代の怖さを感じる。
カギ括弧をどう付けるかで迷った一首。
「あげます」という匿名の声の気持ち悪さにスポットを当てるため、
最初の、現金が欲しい、にはカギ括弧を付けなかった。

コピーライティングの基本として、
必要以上にカギ括弧を使うのは好ましくないと誰かに聞いた記憶があるけど、
短歌の場合はどうなんだろう。

今日は同じ欄に響乃さん(本多真弓さん)の歌も載っていた。
嫁として帰省をすれば待つてゐる西瓜に塩をふらぬ一族 (本多真弓)
学生の頃バイトをしていた職場で、
盆休み前後の人が少ない時期のシフトで
たまたま一緒に昼食をとったパートのおばさんに振られた話題が、
まさにこの短歌と同じ内容だった。

もしかしたら、あれは響乃さんだったのかもしれない。

「一族」という言葉が怖くていいなと思った。
僕はふらぬ側の人間。
ささいな所作ひとつに注目することで、
そこを基点に世界が二分されて見えるのが面白い。