2013年7月31日水曜日

「このキス短歌がすごい」大賞

そんな賞は存在しない。
けれど、そんな賞がもしも設立されて万が一にも審査員になれたら選びたい歌を紹介します。

僕は、「キス」や「口づけ」のような甘い言葉を詠み込むのが苦手で、少し前に下記のツイートをしたこともある。次の「歌会たかまがはら」もテーマが「キス」だったので見送ってしまった。




そんな自意識過剰な僕に、「こんなキス短歌ならつくってみたい、自害したって構わない」と思わせたのが次の二首。

やはらかなあなたの舌を吸つてゐるもしかしてディープ・キスなのかしら /西澤孝子
(2013年7月28日付 日経歌壇 穂村弘 選)
(穂村さんの選評)下句が意表をつく。もしかしなくても「ディープ・キス」だと思うが、その認識が追いつかないほど夢中で「舌を吸つてゐる」のだろう。
朧月ほしいままなる口づけの邪魔をするのはわたしの髪のみ /同
(2013年6月16日付 日経歌壇 穂村弘 選)
(穂村さんの選評)〈私〉の邪魔をするのが「わたしの髪のみ」という異様な臨場感。

作者の西澤さんは日経歌壇で最近よく見かける方。
僕と同じく豊中住まいのようで、
こんな発想をするひとが近所に潜んでいるかもしれないと思うと(穂村さん的に言うと)くらくらする。

こんなキス短歌ならつくってみたいとは思ったけれど、
男ではこんな凄みはきっと出せないし、やっぱりまだ自害したくはないからしばらく様子を見よう。

「このキス短歌もすごいよ!」「僕の、あたしのキス短歌もすごいよ!」というのがあれば、
コメント欄で紹介してもらえると嬉しいです。
「このキスがすごいよ」「僕の、あたしのキスはすごいよ」はお控えください。
それはまた別の機会に。

2013年7月29日月曜日

一周年キャンペーンの当選結果

おめでとうございます、全員当選です。

次にお名前を挙げる方は、プレゼントの発送先を
daiji.okano☆gmail.com (☆を@に替えてください)宛にお送りください。
ワンコ山田さん、竹林ミ來さん、吉井えみさん、匿名さん(コメント欄4番目に書き込んでくださった方)、東徹也さん、実駒さん、砂山ふらりさん、市川好雪さん、西村湯呑さん、流留歌さん
件名を【プレゼント発送先/応募時の名前】としていただき、
本文に【郵便番号、送り先の住所、受け取り可能な氏名】を入れていただけると
分かりやすくて助かります。

他の方については、僕がこれまでに一度何かをお送りしたことのある方々なので、
送り先に変更がなければそのままプレゼントが届くのをお待ちください。
以前と変更があれば教えてください。

皆さんからいただいたコメントを励みにして、
これからもファスナーを少し開いたり全開にしたり閉め忘れたりしながらやっていきます。
ありがとうございました。

2013年7月28日日曜日

今日活字になった歌

トラフィックニュースは告げるこの夜を蠢いている命のことを
日経歌壇(7月28日) 穂村 弘 選
(穂村さんの評)
確かに、車を見るとき、生身の人間を見る以上に、あの一つ一つに「命」が乗っている、と感じることがある。
夜の運転が好きだ。
運転中は基本的に自分の好きな音楽を流しているけれど、
慣れない道での運転が続いて少し不安な気持ちになったとき、
トラフィックインフォメーションを聴くためだけにラジオをつけることがある。


この歌は、6月16日(日)に開催された第九回橿原歌会に提出したもの。

詠草参加だったため、現場で皆さんの意見を聞くことはできなかったのだけど、
後日、牛隆佑さんからメールで丁寧な評をもらった。
「夜の共有」というテーマを軸にしたダイナミックな読みで、
この歌をつくるときに無意識下にあったはずの僕の思いを言語化してくれていた。
牛さんの了承を得たので、全文掲載します。



さまざまな示唆を含み得る一首だと思います。主体者がどういう状況でラジオを聴いているのか、例えば運転中なのか、自宅で聴いているのか、で少しニュアンスが変わりますが、自分は運転中であるように感じました。それはこの歌の中心にあるのが「夜の共有」ではないか、と思ったからです。交通情報から導きだされる通常の答えは、「渋滞や事故により移動時間にどれだけ影響するか」ですが、この歌の主体者は「渋滞や事故があるということはそれだけの人がこの夜の間も生活しているからだ。(私と同じように)。」という答えを得ます。(このあたり、交通情報だけでなく、株価や為替のニュースなどもその奥にはそれだけの変動を起こすぐらいの人々の生活があったのだ、ということについての意識の思い至らなさを思い知らされます。そういう意味でこの歌は、現代社会システムに覆われた生々しい人間の営みを明らかにする、という側面をも持ち得ると思います。)夜の運転は往々にして孤独なものですが、トラフィックニュースによって、多くの夜の生活者たちに「この夜」が共有されます。それは連帯感というほどの強い結びつきではありませんが、たしかに緩い意識の中でつながる、そのような歌だと思いました。 
気になったのは「蠢く」の語です。意味的には相応しいですが、やはりマイナスイメージの言葉なので、「命」の中に主体自身も含まれるのなら、自虐が過ぎるのではないでしょうか。また、トラフィックニュースが交通事故として、「事故で死に損なった人がつぶされた虫のように悶えている」といったようなやや悪趣味な読みもできてしまいそうです。もう少しフラットな言葉でも良かったように思います。また、作者が岡野さんと知ると何となく納得できますが、「ニュースは」だとニュースと主体との間に距離ができますので、「ニュースが」として、より当事者感を出しても良かったと思います。

牛隆佑さんはいつも、好きな歌を見つけたら好きな思いと理由を公言しているし、
作者に伝えられる場合は、必ず本人に伝えている。
そういうところが牛さんの素晴らしいところだと思うし、
そんな牛さんが主催しているのだから楽しくないはずがない空き家歌会のブログはこちら。

あと、この牛さんがくれた評のように、
ひとつの歌について良いところも気になるところも丁寧にしぶとく読み合う歌会に出てみたいと思う方は、
橿原歌会の主催者 三潴忠典さんのTwitterアカウント @tatanon をフォローしてみるとよいです。

2013年7月24日水曜日

『第2ファスナー』一周年感謝キャンペーン

『第2ファスナー』を開いてから1年が経ちました。

見てくださっている方がいるから続けられているので、
感謝の気持ちを表してプレゼントキャンペーンを行います。

・『安福望さんポストカード4点セット』の当選者数を、3名から5名へ。
・『Short Song × Story ポストカード4点セット』の当選者数を、5名から8名へ。
・『バタフライみたいな溺れ方』の当選者数を、5名から10名へ。
それぞれ増やしました。
あと、応募期間を27日(土)の24時まで延長しました。

【プレゼントは30名様分用意しています】

安福望さんポストカード4点セット (5名様)
安福望さんのイラストと手書き文字が入ったポストカード。
紙の風合いも良いです。
僕の短歌が1首、木下龍也さんの短歌が3首あります。























安福望さんポストカード『短歌ください』2枚1組 (3名様)
木下龍也さんの短歌が入っています。
個展DMと同じ絵と短歌ですが、ポストカード仕様です。
表と裏を並べると1枚の絵になります。



















『Short Song×Story』ポストカード4点セット (8名様)
僕の短歌4首に写真を合わせています。
短歌から生まれた散文つき。書き手は、
今をときめく木下龍也さんです。
4枚でひとつのストーリーになっています。

























『短歌の夜明けらしきものをもういちど』 (4名様)
木下龍也さん、飯田和馬さん、飯田彩乃さん、
岡野大嗣の短歌を10首ずつ、計40首掲載。
全てに写真を添えています。























木下龍也自由律虚無俳句集『バタフライみたいな溺れ方』 (10名様)
木下龍也さんが『第2ファスナー』のコメント欄に
執拗に書き込んだ自由律虚無俳句をまとめた1冊。
ショートショートも載っています。手乗りサイズのかわいい冊子で、
贈り物にもぴったりです。(色は選べません)




















【応募するには】

このブログ記事のコメント欄にお名前(筆名でも可)を書いていただいた上で、
僕の短歌のうちで何か1首、お気に入りを挙げてもらえると嬉しいです。
お気に入りが無いなら、知っている歌を挙げてもらうだけでもOKです。
「あの~~の歌」みたいなぼんやりした書き方でも構いません。
褒めてもらいたがりですみません。
それをもってエントリーとさせていただきます。

応募は7月27日(土)の24時までにお願いします。


【後日、抽選します】

どのプレゼントが当たるかは分かりません。
でも、希望があれば一応おっしゃってください。
何らかの力が働くかもしれません。
応募者多数の場合はハズレの方も出てしまいますが、ご了承ください。
応募者が一人の場合は、その一人の方に全部プレゼントします。

2013年7月22日月曜日

今日活字になった歌

メロンパンスプレッドを塗った食パンはメロンパンよりメロンパンだった
毎日歌壇(7月22日) 加藤 治郞 選

毎日歌壇に送ったのは初めて。
送信フォームを見つけたときにちょうどメロンパンを囓っていたので、
試しにメロンパンの歌を投稿した。

元々は、飯田彩乃さんに送ったメールの件名に使った文言。

彩乃さんからの返信メールの件名が、
ということは食パンスプレッドもあって食パンよりも食パンになる?
という返歌になっていたので、
メロンパンの件名も短歌に思えてきて短歌ということにした。

メロンパンは外の生地がぽろぽろこぼれるから好んでは食べないけれど、
メロンパンナちゃんは好きだし、ロールパンナちゃんはもっと好きだ。

パン関連の短歌はこれまでに、
ベーカリーオカノダイジの焼きたての決心はすぐふにゃふにゃになる
 ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた
に今回のメロンパンのを入れて計3首しかつくれていない。

これからいろんな種類のパン短歌をつくって、
最終的にはベーカリーオカノダイジをひらいて、
短歌界のジャムおじさんになりたい。

手始めに、次はロールパン短歌をつくろうと思う。

【8月1日追記】
今年いちばんに冷え込み町じゅうのイースト菌が仕事をさぼる
これもパン短歌だった。


(こぼれ話)
2ヶ月くらい前に投稿してたので、
さすがにもう載らないだろうと思い、先日、一瞬だけどブログにアップしてしまっていた。
なんとなくやめておこうと思い直して下書きに戻しておいてよかった。
つくった歌はエクセルか何かで発表・投稿履歴も含めて管理しておかないとだめだな。

2013年7月19日金曜日

ふしあなⅡ

ある短歌賞の審査員に選ばれる僕。

「儂の目はふし穴じゃないぞぃ」
どうやら僕は大御所らしかった。

主催の出版社には
抗議と嫌がらせの電話が殺到し、
僕は志半ばで降板させられた。

ふて腐れて五年ぶりに外出した僕は、儂として目を疑った。
街を行き交う全ての人の全ての左目と全ての右目の中に、
ただのひとつも眼球は入っていなかったのじゃ。

ふしあなⅠ

聞いたことのない短歌賞の授賞式に、
受賞者として出席している僕。

驚いたことに、5人いる審査員の
5つの左目と5つの右目の中に、
眼球はひとつも入っていない。

どうやら彼らの目は、
文字通り
ふし穴だったようだ。

2013年7月17日水曜日

今さらながら

田中ましろさんから『短歌男子』の企画の話を聞き、
参加してほしいと言われたとき、しばらく返事を出せずにいた。

自分だったらそんな本に出ているやつは絶対に受け入れられないなー、と思って。

でも、

『将棋男子』という和服正装グラビアつきの将棋本が企画されたとしたら、
羽生さんなら迷わず引き受けるだろう。

カート・コバーンは永遠の憧れだけど、
「あいつらは金のためにロックやってる」ってガンズを批判してたのはあんまり好きじゃなかったな。

という2つのことが頭によぎって、参加しようと決心した。
あと、ましろさんのドン・キホーテ的な立ち回りは信頼できるから。

まあ、羽生さんは問答無用で将棋の実力もトップだから『将棋男子』に出ても許されるわけだし、
カートはカートで、幼稚な考えをもってそういう批判をしていたわけじゃないとは思うけど。
あと、ましろさんはたまにまくろになることもあるけど。

ピューと吹く!大岡野(大) 第10話:大捜索を大スルー

特徴、「変な帽子」って。
もう全然普通の大きさになってるし。
イラスト:木下龍也



2013年7月16日火曜日

ピューと吹く!大岡野(大) 第9話:本人大不在

催促せずとも、
律儀にイラストを送り続けてきてくれる。
イラスト:木下龍也


音涼み

夏。窓を開け放っても無風の夜に。氷をひとつ口にふくみながら。
聴けば体感温度が2℃くらい下がる。


2013年7月12日金曜日

十人十色

僕だけの秘密にしてる神様の誤植が僕のなかにあること


















イラスト:安福望(御本人に掲載許可をいただいています)

一度しか会っていないのに、急な相談をいきなり持ちかけますよ。私の描いたイラストから短歌って作れますでしょうか?」

という依頼を安福望さんから受けて、安福さんの個展『短歌ください』のメイン展示用につくった短歌。


僕の他に、


飯田和馬さん、飯田彩乃さん、木下龍也さん、鈴木晴香さん、高松紗都子さん、

田中ましろさん、東直子さん、虫武一俊さん、村上きわみさん

の9名の方にもお声かけしたところ快諾してくださり、

ひとつの絵に対して10人の歌を添えることになった。
(ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。)

個展はもう終わってしまったし、

他の方がどんな短歌をこの絵に対して合わせられたのかを、
個展を見逃してしまった方が知る術はいまのところないので ※
(いずれ安福さんがブログにあげるかもしれないけど)、
ぜひ『短歌くださいをもういちど』というかたちで巡回展をしてもらいたいし、
そのために暗躍するつもり。

巡回展が関西であったら行きますよー、という方は

コメント欄にメッセージを残してもらえるとうれしいです。


※木下龍也さんが出してくれた歌は個展DMにも掲載されたので紹介しておきます。


ぼくたちは月でアダムとイブになるNASAの警告なんか無視して /木下龍也

ピューと吹く!大岡野(大) 第8話:大メカ岡野(大)と路上口笛大対決

回を追うごとに目のしょぼしょぼ感が増して、
のび太の裸眼時みたいになってきている。
イラスト:木下龍也


2013年7月7日日曜日

ピューと吹く!大岡野(大) 第6話:Chara大好き

ツイート・フォロー・フォロワー数が忠実に再現(7月5日当時の状況)されているため、
ツイート内容も僕が本当にツイートしたもののように感じられるけれど、
あくまでフィクション。
ハーメルンのプロットはどこで収束させるのだろうか。
イラスト:木下龍也


ピューと吹く!大岡野(大) 第5話:ネタ切れで大ピンチ

やっつけ感が否めない。イラスト:木下龍也





2013年7月6日土曜日

ピューと吹く!大岡野(大) 第4話:ハーメルンの大岡野(大)に町中の子どもが連れて行かれて大迷惑

大岡野(大)はドイツ人なのかな。
第2話での、ビルに対する大岡野(大)のサイズ感を物差しにして見た場合、
この子どもたちも相当でかいと思う。
あと、手描きの題字でハーメルンが「ハメルーン」になっていることに注目したい。
そんな名前の呪文がRPGにありそうだ。
子どもたちを何らかの罠に嵌めるということだろうか。

続きが楽しみだ。

イラスト:木下龍也

2013年7月5日金曜日

今日活字になった歌

ひとりだけ光って見えるワイシャツの父を吐き出す夏の改札

ダ・ヴィンチ『短歌ください』(2013年8月号)第64回「駅」 
(穂村さんの選評)
「夏」の夕暮れの「ワイシャツ」の輝き。「ひとりだけ光って見える」の子供目線に、生々しいノスタルジーが宿りました。これは母では成立しない歌。
描写も響きも表記のバランスも、久しぶりに気に入っていた歌なのでうれしい。
ワイシャツと改札で韻を踏んでいることには今日はじめて気付いた。
自分では気付いていないけど上手くいっている、くらいが丁度いい。



ピューと吹く!大岡野(大) 第3話:口笛は大トラップ

効果的な着色。イラスト:木下龍也

2013年7月3日水曜日

人生ゲームのピン

ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた

福永信さんの『コップとコッペパンとペン』に響きの着想を得たこの歌が、
同じタイトルをもじった『食器と食パンとペン』というブログで
イラストを添えられているのを見つけたのが今年の3月末のこと。
描かないことで描くような飄々としたタッチのイラストにはもちろん、
日記の短文やタイトルの付け方も洒脱で、すぐに心惹かれた。
Twitterで紹介ツイートをしたら、結構な反響を呼んだ。

うれしいことに、4月の文学フリマでお会いでき、
そのあと何度かメールでやりとりし、
個展のほんのちょっとしたお手伝いができることになった。
安福望さん個展『短歌ください』は、7月5日(金)~10日(水)まで、東京OPA GALLERY で開催されます。
僕は残念ながら個展をのぞきにいくことはできないのだけど、
のぞきにいく予定のひとたちの予習のために、
安福さんの特徴をさらっと挙げてみる。
2回しか会ったことがないけど、だいたい網羅できていると思う。


安福さんは、安福さんの描く絵に出てきそうな印象のひと。


ご本人に「安福さんの描く絵に出てくるひとは、人生ゲームのピンっぽいですね」と
既にお伝えしているうえでそんな風に言うのはやや失礼な気がするし、
安福さんを紹介する記事のタイトルが「人生ゲームのピン」というのはいかがなものか。

でもそうなのだ。

いい意味でのっぺらぼうというか(全くいい意味に聞こえないけど)、
どんな可能性にも飄々と対応していきそうな印象は、
やはり、山あり谷あり一発逆転ありの人生を無表情で乗り切っていく人生ゲームのピンそのもの。

ブログの記事タイトルの付け方や短文のセンスをみるかぎり、
とても博識のある方のはずだけど、
一方で、何につけても先入観を持っていない感じで、ニュートラルな対話ができる。


スパルタローカルズと柴崎友香さんがすき。

安福さんの描く絵は、肩の力が脱けていて、
絶望からも希望からも等距離の、平熱の感情を湛えている。
この両者と安福さんに共通する部分はそんなところだと思う。 



僕のことを巨匠と呼ぶ。

たまに和尚とも呼ばれる。
短歌の救世主とも。
いずれにしても僕にはもったいない呼び名だし、
いずれにしてもわけがわからない。


そんなつかみどころのない巨匠 安福さんが、
僕の短歌のイメージを広げてくれた傑作の数々をどうぞ。


ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた

『朝ごはんだった』 
『パン好き少年の悲劇』 (大好きな杉﨑恒夫さんの歌と並べてもらえた)
かなしみを遠くはなれて見つめたら意外といける光景だった
『灰色の虹』 
担当の美容師を見たことがない鏡越しならたぶん何度か
『山だったり川だったりするわたし』
マーブルの水ヨーヨーが地を叩く 世界が消えるときは一瞬
『二度と行けない夏の家』 
このビルが無かった空がすきだった 檸檬をひとつ仕掛けて帰る
『雲で帰宅』 
似合わない服を着ながら本当の自分を探し続けてる顔
『行方不明の自分』 
日めくりがぼそっと落ちて現れた画鋲の穴の闇が深いよ
『穴から星』